広島市でも他都市と同様に地下鉄を市街に整備する計画は存在した。

特にモータリゼーションの進行によって市街中心部の道路渋滞が深刻化したことで、路面電車ではそれを増幅する上、後に路面電車の輸送力では限界があると指摘されたためである。しかしながら、広島市街は太田川を始めとする三角州地帯に位置するため、比較的地盤が脆弱で、しかも掘削によって水を噴出しやすい。そのため、特別な補強工事が必要になり、それらを加味すると初乗り運賃370円にも達すると試算された。加えて、仙台、福岡など他の地方中枢都市の地下鉄が軒並み経営赤字を強いられているのに加えて初期投資に多額の費用を要するため、それに連鎖して、黒字経営の路面電車事業さえ縮小に追いやられかねない、また広島市の経済規模では地下鉄を敷設するほどではないなどの意見が相次ぎ、結果、地下鉄整備計画は白紙に戻された経緯がある。

中心となる駅
広島駅
紙屋町
横川駅
大町駅

バス
広島市中心部は、路面電車王国であるとともに路線バスの競合地区でもある。概ね中区・東区・西区・南区は広電バス広島バスの2社が、安佐南区広電バス広島交通中国JRバスの3社、安佐北区広島交通広島バス中国JRバスの3社が主として運行しているが、各社間でほぼ運行区域の棲み分けはある。この他、安芸区では芸陽バス、佐伯区では広電バス、また西区の一部ではエイチ・ディー西広島がそれぞれ運行し、市外北部の備北交通ともども市中心部に乗り入れてくる。公営交通の運行実績はない。
乗車方法は後乗り前降り後払いで、運賃は整理券による区間制である。共通バスカードが導入され、乗車時と降車時にそれぞれカードリーダーにカードを通す。なお、非接触ICカード方式による乗車カードPASPYが2008年1月26日に導入されて、全事業者の路線で利用可能である。

広島電鉄
広島バス
広島交通
エイチ・ディー西広島
芸陽バス
備北交通
中国ジェイアールバス
第一タクシー - 第一タクシーは、広島電鉄から移管した路線を受け持っている
八丁堀バス停 - 広島市内に15箇所あり、日本最多となっている。
エイチ・ディー西広島広島電鉄の子会社であり、芸陽バス備北交通の両社も広電グループに属している。このほか、広島バスは近年まで広島電鉄と資本関係にあり、また広島交通広島電鉄の主要株主であった。

▼ 道路
広島市の主要道路は、従来からの中心市街部を網羅する国道2号などの一般道路と、市の北部から西部にかけて通る都市間高速道路、それに中心市街地と郊外にできた高速道路インターチェンジとを結ぶ都市高速道路である広島高速道路などによって成り立っている。

一般道路は太田川の三角州地帯に発展した従来の中心市街地を通り、中国地方の中心都市である広島市と他地域の都市を結ぶ。また、中心市街地はおおむね平坦な地形であり、国道や県道などの主要道路を軸とした市道などが整備され、一般道路の整備状況は概ね良好である。第二次世界大戦中に空襲対策で行われた防火帯整備、それに原爆投下がもたらした旧市街の壊滅と焦土化により、戦災復興事業として広幅員の道路が整備された。これは広島電鉄による路面電車網の存続と高頻度・定時運転の継続にも寄与している。特に爆心地付近を通る平和大通り名古屋市若宮大通久屋大通と並ぶ「100m道路」として整備された。その一方、軟弱な地盤などを理由にして高架橋の整備などを伴う都市高速道路の建設は遅れ、各国道などでの自動車交通は都市間輸送と都市内交通が未分離の状態にある。また広域合併により広島市編入された湯来温泉などの山間地域では地形の制約を大きく受け、川の谷筋に沿って一般道路が整備されている。その幅員は中心市街地と比較すると狭く、国道であっても国道433号七曲峠の大型車通行不可区間国道488号冬季閉鎖区間なども存在する。ただし、安佐南区西風新都地区をはじめ、佐伯区内や安芸区内などでは山を崩しながら傾斜地に建設されたニュータウンが点在し、その内部では住民の自動車利用を前提とした地区内道路の整備が行われている。

1980年代後半に中国自動車道との連絡道路である広島自動車道、継いで山陽自動車道の同市内区間が完成すると、山陽自動車道の各インターチェンジと広島の中心市街地とを結ぶ連絡道路が整備された。広島東インターチェンジに直結する広島高速1号線広島インターチェンジと結ばれてアストラムラインと一体で整備された国道54号、五日市インターチェンジにほど近い西風新都地区から西風トンネルで都心部につながる広島高速4号線などの広島高速道路や一般道路などがこれに該当し、広島市は1975年開業の山陽新幹線に続いて自動車交通でも高速化時代に入った。しかし、広島高速道路は従来の中心市街地を貫通するものではない。特に広島空港との連絡機能も担っている1号線については5号線建設などでの利便性向上が求められているが、地盤沈下や採算性への懸念などで整備への反対意見もあり、着工に至っていない。また、南部の臨海部では広島高速3号線が建設され、広島呉道路と接続している。広島高速2号線を介した広島高速1号線とも接続されているが、廿日市方面への整備による市域の東西横断はまだ計画段階である。

広島県
広島県は日本の中国地方に位置する都道府県の一つ。瀬戸内海に面する。県庁所在地は広島市。広島都市圏と備後都市圏を中心とする工業・商業を中心に、海、山の豊富な自然にも恵まれ、農業・漁業も盛んである。このため日本の縮図と呼ばれる。

瀬戸内海には大小合わせて約140の島を有す。47都道府県中12番目の人口を持ち、県庁所在地の広島市は中国・四国地方最大の都市であり、政令指定都市に指定されている。 県内西部には、2つの世界文化遺産があり、日本国外からの観光客も多い。

旧国制に倣い、大まかに県西部を「安芸」、県東部を「備後」と呼び、現在でも方言・文化的に大きな違いを見せる。

近年の広島県の施策では、有する都市機能と生活圏などから、広島圏域、備後圏域、備北圏域の3つにわける場合も多い。

2つの世界遺産を有し、世界初の核攻撃を受けた広島市を抱えることから、国際的な知名度も高い。