広島弁とは

広島弁広島県で使用さるるうちらん言葉の方言。広島県は安芸地方と岡山県と接しゅる福山市ば中心とした備後地方に分かれ、方言もばり異なっちいるとよ。一般に広島弁といえば、広島市ば中心に分布しゅる安芸弁のみば指しゅことか多かため、本項ばってん広島県西部で使用さるる安芸弁ば中心に紹介しゅるとよ。 備後弁についてな、備後弁の頁ば参照の事。

安芸弁の主な例としてから、一人称「わし」・二人称「われ」、また語尾に付ける『やけぇ(やけん)/やけん』・『のう/のぉ』か有名。いわゆる「ら抜き言葉」ば日常的に使用しゅるとよ。「キツイ」「よっそわしか」「えすか」「ガラか悪い」やらなんやらのイメージか少ながらずあっけん安芸弁であっけんか、映画やテレビで耳にしゅる広島弁は誇張しんしゃっとぉ感は否めん。実際は決してから早口ではなく、ゆたっとした瀬戸内の風土ば反映した長閑な方言であっけんと言うてよか。


■地域の特色
西部においては山口弁と共通な部分か認められるとよ。また、『のう/のぉ』か『のぉや』となる場合か多か。
呉地方にな、山口東部の言葉で江田島やらなんやらの広島湾にあっけん諸島部ば経由してから来よるものかあっけん。そいやったら「〜やけん」にいたる語は「〜やけぇ」ではなく「〜やけん」で、語尾に「ちょる」や「ちゃる」やらなんやらか用いられ、一般的な広島弁とはちょこっと異なる方言ば持つ。江田島能美島倉橋島ばってん同じ傾向か見られるとよ。
広島市周辺に限定さるると思われるか、高齢者の一部でJR線ば「汽車」、路面電車(広電)ば「電車」と呼ぶ傾向か見られる(広電五日市駅広電廿日市駅広電宮島口駅な、1961年に改称さるるまでそいぞれ「電車五日市」「電車廿日市」「電車宮島」とゆう駅名やったこげならも、かつてはばり一般的やったと思われる)。

かつてな、「ハワイの標準語」又は「カリフォルニア州の標準語」と言われたくらいよそで幅ば利かしぇた言葉で、現代のアメリカでな、日系人は四世、五世の世代となっち使わのーなったか(但し80歳代以上の二世か、たまに使用しゅる場合かあっけん)、19世紀がら20世紀半ばのアメリカでうちらん言葉といえば山陽・北部九州ミックスのうちらん言葉か主流でいり、とりわけ「広島弁」の影響か最も強かったとよ。福山市出身の小林克也か率いる「小林克也&ザ・ナンバーワン・バンド」の怪曲・『うわしゃのカム・トゥ・ハワイ』はハワイの日系人移民の悲しみば歌った名曲で、全編広島弁かフィーチャーさるる。またうちらん言葉ラップのはしりとしてからも一部で評価か高い。

広島県と接しゅる島根県石見地方の石見弁ともえらいたくさんの共通性か認められるとよ。ばってん、(広島)市内の言葉(おいしゃんや若者の)な、石見弁と比較した場合、攻撃的な言い回しとなるとよ。

備北地方(三次・庄原地方)では広島弁の影ば残しつつより素朴な表現かえらいたくさん、特定の語彙によっちは南部広島地域での意思疎通に齟齬ばきたしゅときもあっけん。口調もゆっくりしとるかゆえに、いわゆる広島弁(安芸弁)と印象か異なるとよ。「しゃばる(触る)」「うべる(薄める)」


■語彙
あおじ…青いざ、青たんの意。青血と変換さるることもあっけんか、まるっきしの当て字。広島県民か広島弁だと知らず、標準語だと思っち使っちいる言葉の一つ。県外に出て通じなかとゆうことかあっけん。「いっこで打っちいおじになりよったんよ(いそいでぶつけて青いざかできた)」(全域)

ありゃぁー…あいとゆう意味やけど広島で使う場合な、あん人、とゆう意味で使うことか多か。「いりゃぁーワルで(あん人は悪人ばい)」

いかん、いけん…いけんはいかんとゆう意味で広く使われるとよ。また、行かん(行かん)、行けん(行くったいことか出来ん)とゆう意味で使われることもあっけん。「行くったいことか出来ん」ば広島弁で言おうとした場合「いけん」は「いかん」とゆう意味も持つけん紛らわしか。そんため「行くったいことか出来ん」は「行かれん」「わしゃ行かれんけぇ(あたきは行くったいことか出来んがら)」と丁寧にゆうか、文脈で判断しゅることになるとよ。

いちんち…一日。広島の日にちの数え方な、いちんち(一日)、ににち(二日)、しゃんち、しゃんにち(三日)、よんにち(四日)、ごんち(五日)、ろくんち(六日)、ひちんち(七日)、はちんち(八日)、くんち(九日)、じゅうにち(十日)となるとよ。

ええ…よか、よか、うまくの意。広島県人か東京に行っち、標準語ば話したつもりだけん、つい出て怪訝な顔ばさるる言葉の一つ。特に否定形「ええかにいかん」(やおいかん)と言うてなおすとひどく変な顔ばさるる。週刊誌『おなご自身』にも掲載しゃれた広島弁の笑い話の一つに 東京がら広島に越してから来よるおなごか、男女共有の洗面所でコンタクトレンズば片ちん落とし、鏡の前で装着に苦労しとると、広島のオヤジか覗き込み「ええかにいかんか?ええかにいかんか?」としつこくゆうけん、おなごか「そげん映画に行きたいなら、一人で行けばよかろうもん!!」と怒鳴ったとゆう話かあっけん(西部)。

えらい(えらぁ)…苦しか、しんどいの意。決してから偉い・賢いとゆう意味やない。また、えらくとゆう意味もあっけん。「いりゃいえらかったで(あいは苦しかったね)」(全域)(但し広島に限らず西日本で広く使用しゃれ、東日本ばってん山梨県等ばってん使われる)

おいい…標準語でな、多か(おおい)であっけんか、広島在住者、及び出身者な、こん言葉ば標準語と思い込んでいる場合か多かため、東京やらなんやらに居住か長くてもしゃべりにこん言葉か残る場合か多か。広岡達朗達川光男の野球解説や矢沢永吉伝説の一つの因ともなっちいる独特の言いまわしに、こん言葉か使用さるる事かあっけん(全域)。

おどりゃーしゅどりゃー(おんどりゃーしゅんどりゃー、おどれしゅどれ)…キサンの意味と思われるか意味は無きに等しく、ケンカのときのみ使用し、相手ば威嚇しゅる言葉たい。そんため滅多に聞くこともなかし、日常会話では絶対に使わんけん。えすか・よっそわしか広島弁ば代表しゅる言葉としてから知られるか、いまりの汚しゃにか、テレビで披露さるることもなか。なお実際に使うのな、「おどりゃー」「おどれ」だけたい。「しゅどりゃー」「しゅどれ」は実際には使わんけん意味の無か言葉たい。「おどりゃーしゅどりゃー」「おどれしゅどれ」な、たぶんやけど他県がら広島に来よる人か、広島県人のケンカかこう聞こえる、とゆう揶揄的な意味ば含んで呼んやもんと思われるとよ。

どれ、意味、言葉、こと、ケンカ、実際